米国選挙カウントダウン：市場はトランプ2.0に備えている

今週のオッズメーカーによると：

今週：賭けのオッズと市場はトランプ再選に備えています。しかし、それは妥当な評価でしょうか？

アメリカ大統領選挙の世論調査は、過去数週間でわずかにトランプ有利に傾き続けており、8月下旬からのゆっくりとした引き締まりが続いています。 しかし、polymarket.comの賭けのオッズは、トランプ勝利に向けて劇的に変動しており、この動きは約2週間前から始まりました。
さらに、トランプ再選、つまり共和党が両院を制する「共和党の圧勝」の確率は40%を大きく上回っています。 市場がこれらの高いトランプ再選の確率にどのように反応しているかを指摘することができます。
しかし、市場や投資家は先走りしすぎているのでしょうか？

今週のチャート：市場がトランプ再選を織り込んでいることを示唆する2つのETF

この記事で述べられているように、市場はトランプが再選し、選挙後に共和党が上下両院を支配する「トランプ2.0」のシナリオの確率が高まっていると見ています。後者の共和党が両院を支配することは、トランプの政策を完全に実現するために重要です。

上記のチャートは、市場がトランプ2.0の結果に備えていることを示す2つのETFを示しています。

1つ目の黒い線は、アメリカの大手金融サービス企業のETFです。これは、トランプによる企業減税や規制緩和の期待から上昇しています。2つ目の青い線は、アメリカの長期国債のETFですが、米国の金利が上昇するにつれて下落しています。これは、トランプ2.0の政策はインフレを引き起こし、米国の成長にプラスになると見なされている一方で、米国の財政赤字が悪化するとも見なされているためです。約10営業日前、トランプの勝利確率が急上昇した時期に、金融サービスETFの急激な上昇と米国国債ETFの弱体化が見られます。

市場がトランプ2.0に備えていることを示す他の金融商品には、金価格があります。多くの人は、共和党の圧勝がより高いインフレと大きな地政学的緊張をもたらすと見ています。また、トランプが脅かしている関税がメキシコの製造業を弱体化させ、米国への輸出が減少するという恐れから、メキシコペソが弱くなっています。さらに、トランプが自らを暗号資産支持者として大々的にアピールしているため、暗号資産の価格も上昇しています。

具体的には、ETFは以下の通りです：
IUSV: iShares USD Treasury Bond 20+year UCITS ETF。これは、20年以上の満期を持つ米国の国債とTボンドを保有しています。

賭けのオッズは実際の確率と同じですか？

トランプ勝利のオッズは、最近の世論調査の変動により着実に上昇していますが、過去数週間の賭けオッズの変動速度は非常に顕著でした。これには何が影響しているのでしょうか？

ウォール・ストリート・ジャーナルの記事によると、このオッズの変動の背後には少数のアカウントが関与していることが明らかになりました。この記事は、選挙結果に賭けるための最も透明性の高い市場であるpolymarket.comでの賭け行動に焦点を当てており、選挙勝者に対してだけでも22億米ドル以上の賭けが行われていると報じています。記事によると、4つの大口アカウントがトランプ勝利に賭けるために約3000万米ドルを迅速に投入したとのことです。これらのアカウントはすべて暗号資産取引所Krakenから資金提供されており、その賭けのタイミングと規模の増加は非常に似通っていました。さらに、これらのアカウントは、トランプが個々の激戦州で勝利することや、全国の一般投票で勝利することに賭けてもおり、これはほとんどの人が極めてありえないと考えています。

これらの動向から確固たる結論を導き出すのは難しいですが、実際にお金がかかっている選挙結果のオッズを傾けたのが特定の個人や組織であることを示唆しているとしても、他の賭け市場もトランプ勝利に傾いていることが影響しています。現在、非常に声高なトランプ支持者であるイーロン・マスクも、polymarket.comでの変動に言及し、賭けオッズの方が世論調査よりも正確であると主張しています。しかし、実際の影響もあります。観察者たちは、賭けオッズがニュースやソーシャルメディアで取り上げられ、トランプ支持の話題を作り出すことで世論に影響を与える可能性があると指摘しています。

覚えておきましょう：トランプ2.0は「トランプによる行き詰まり」とは全く異なります。

結論として、賭けオッズがトランプ勝利の全体的な確率を過大評価しているかどうかは不明です。世論調査の接戦は、アメリカの大統領選挙における独特の選挙人団制度のため、トランプ勝利の確率が高まることを示唆しています。
（覚えておきましょう：トランプは2016年に総得票数でクリントンに2.1%負けたにもかかわらず勝利しました。）
しかし、polymarket.comの他のオッズは疑わしいものもあります。特に、このサイトでは「トランプ2.0」または「共和党の圧勝」と呼ばれるシナリオのオッズが現在42%とされています。世論調査がハリスが総得票数で勝つ可能性が高いと正しく予測しているならば、共和党が下院を掌握するのはこれらのオッズが示すよりも難しいかもしれません。
現在、polymarket.comでは「トランプによる行き詰まり」シナリオ、つまりトランプが勝利するが共和党が下院を掌握しないシナリオのオッズはわずか16%となっています。

ここ数週間で取り上げてきたように、トランプ2.0と「トランプによる行き詰まり」のシナリオは、政策や市場にとって全く異なる結果をもたらします。トランプによる行き詰まりの場合、市場は主にトランプ関税やトランプの外交政策の一部しか受け取らず、トランプの減税や規制緩和はほとんど期待できません。
これは選挙直後の市場反応にとって、昼と夜ほどの違いがあります。要するに、選挙の夜にトランプが早期に勝利の兆しを見せたとしても、投資家やトレーダーは下院選挙の動向にも注意を集中させる必要があります。

また来週お会いしましょう！

著者について：ジョンはSaxoのチーフマクロストラテジストであり、金融市場で25年以上の経験を持ち、主にSaxoの元FX戦略責任者として活躍してきました。彼はアメリカ出身で、テキサス州ヒューストンで育ち、1980年の選挙結果が発表されるのを夜更かしして見たことをきっかけに、アメリカの選挙とその歴史に対する長年の情熱を持っています。このとき、ロナルド・レーガンがジミー・カーターに勝利して大統領になりました。