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コモディティ戦略責任者(Saxo Group)
サマリー: 金属が落ち着く中、エネルギーと穀物に注目です。2024年第3四半期におけるコモディティの主要トレンドと、市場促進要因について解説します。
2024年、当社は、1年に亘る価格調整を終えようとしている理由と共に、今年とその先に向けて勢いを増す可能性の高いセクターとして金属に注目しました。現時点で、ブルームバーグ商品トータルリターン指数は年初から5%以上の上昇を見せており、穀物を除くすべてのセクターがこの上昇に貢献しています。第2四半期は地政学的リスクプレミアムの減少からエネルギーセクターが後退しましたが、金属セクターは続伸しました。金と銅は過去最高値を更新し、銀は過去13年間見られなかったレベルまで到達しました。
主要コモディティ全体における堅調な需要、生産上の取り組み、資金調達コストの低下見込みに伴う在庫補充が進みました。これらの要因は、ブルームバーグ商品トータルリターン指数を年間+10%高める可能性があります。これからの四半期については引き続き前向きな見通しとなりますが、エネルギーと農業セクターが特に上昇する可能性があると見ています。金属セクターは、投資家が価格上昇を受け入れるなかで、価格調整が行われると予想されます。工業用金属では、現段階での価格上昇を裏付ける中国需要の回復が求められます。
エネルギーセクターでは、第2四半期の原油・燃料需要が予想以上に緩和されました。第3四半期には、中東やアジアで季節的な熱波に見舞われるなか、移動手段の増加や冷房稼働のため、大きな需要が戻ってくることが予想されます。さらにOPECによる生産制限は、天然ガスを含む本セクターの見通しをポジティブにし、ブレント原油は75米ドルから90米ドルの幅広いレンジで推移すると見ています。
穀物セクターは、2年近く続いた損失から回復の兆しを見せています。これは、厳しい栽培期が始まる直前に、投機筋が記録的なショートポジションを保有したことが、理由の一つとなっています。ブラジル南部から欧州、ロシアでの悪天候は、在庫レベルの回復に不安をもたらしました。ロシアの小麦生産は大幅なダウングレードとなりましたが、米国の生産見通しが良好であったため一部が相殺されました。主要生産地での乾燥した気候は、引き続きカカオやコーヒー、砂糖などのソフトコモディティを下支えすると見られています。
銅は今年初めに史上最高値を記録しました。当社では長期的には上昇すると見ていますが、在庫レベルがパンデミックの時期と同等の高水準まで上がっている現在の中国では需要が低迷しており、今はそのタイミングではないことを示唆しています。当社の最高投資ストラテジスト、ピーター・ガンリューが株式の見通しで説明したように、世界における電化は、大きな変革をもたらすものであり、最良の導電体である銅の動きを後押しするものです。しかし、長期的な見通しでは銅価格の上昇が予測されているとはいえ、最終的に価格が上昇に転じるまでには短期的な見通しが改善される必要があり、新規供給のファネルが枯渇し始める2025年より前にその時が訪れる可能性は低いと考えられます。
今年前半の金と銀の高騰は、投資家が高値に適応する間、価格の調整を引き起こすかもしれません。しかし全体としては、金属を保有する理由に大きな変化はないと見ており、下半期に米国の利下げが実施される見通しであり、2022年以降純売りのグループであったETF投資家が戻ることから、年末には価格が上昇すると見ています。中国人民銀行が18カ月にわたって続けてきた金の購入を5月に停止したことでわかるように、近年の金の上昇の主要な原動力のひとつである中央銀行の買いも、短期間で落ち着く可能性があります。当社では、年末の金相場は1オンス2,500米ドル、銀相場は1オンス35米ドルという予測を維持しています。