通貨を空売りする方法:ステップ別ガイド

通貨を空売りする方法:ステップ別ガイド

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FX取引で通貨を空売りできることは、景気動向が不透明であったり市場が変動的であったりする時期に特に役に立ちます。ある通貨が別の通貨に対して価値が減少するという予想する場合、利益を得る方法となる可能性があります。

ただし、収益獲得戦略となり得るとしても、通貨市場の仕組みとそれに伴うリスクを明確に理解しておくことが重要であり、それにより予想外の打撃から身を守ることができます。

このガイドでは、FX市場での空売りの仕組みをステップに細分して全行程について解説していきます。また、通貨の空売り方法の全容がより明確になるため、通貨下落局面でこの戦略が自分の取引手法に適するかどうかを判断できるようになります。

空売りとは

空売りは資産価格の下落に乗じて利益を得るための取引戦略です。株取引でよく使われますが、通貨を含めて他の金融商品にも通用します。

基本的に空売りは、価値下落を予想する資産の借り入れ、直近市価での売却、値下がり局面で再購入して貸し手に返却の順で進みます。売り値と再購入価格の差が利益となります。

 

通貨を空売りする意義

通貨の空売りには、ある通貨の価値が別の通貨に対して下落するという思惑が絡みます。FX市場では通貨は常に、GPB/JPYや EUR/USDなどのペアで取引されます。

通貨ペアの空売りでは、基本的に、基軸通貨の価値上昇を予想して、基軸通貨(ペアで最初に表示される通貨)を売り、決済通貨(ペアで2番目に表示される通貨)を買います。

例えば、EUR/USDペアを空売りする場合は、ユーロを売りドルを買います。ユーロ安ドル高局面になったときにユーロを当初の売却レートより低いレートで買い戻すことで、レート差から利益が得られます。

通貨の空売りは、ある国の経済状態が他の国より悪化すると予想する場合、または利下げや政局混乱などの特定のマクロ経済要因によりある通貨の下落につながると予想する場合によく使われる戦略です。

ただし、通貨価値は予測不能なためリスクの高い戦略であり、通貨価値が下落する代わりに上昇すると、重大な損失が発生します。

 

通貨を空売りする8のステップ

FX市場での通貨の空売りは、通貨価値の下落を予想し、その予想が的中した場合、収益性の高い戦略になり得ます。

以下のステップ別ガイドは、リスクを管理しながら空売りする方法を理解するのに役立ちます。

1. 通貨ペアを選ぶ

通貨の空売りの最初のステップでは、取引する適当な通貨ペアを選択します。FXでは通貨はペアで提示され、ある通貨を売ると同時に別の通貨を買います。例えば、米ドルに対してユーロが下落すると予想する場合、空売りするペアとしてEUR/USDを選びます。つまり、ユーロをドルに対して売ります。

2. 市場を分析する

発注前に、徹底的な調査と分析を実施することが非常に重要です。例えば、テクニカル分析で、チャートを考察し、レートのパターンを読み取ったり、ファンダメンタル分析で、経済指標、金利、地政学的情勢といった通貨価値に影響を及ぼす可能性のある要因に焦点を当てたりします。基軸通貨が決済通貨に対して下落する兆候を示す材料を探します。

3. 金融商品取引業者を選ぶ

空売り取引を執行するには、FX市場へのアクセスを提供する金融商品取引業者を利用する必要があります。魅力的なスプレッド、信頼性の高い取引プラットフォーム、分析に必要なツールを提供する金融商品取引業者を選択します。お住まいの地域で定評があり、規制に準拠していることを確認します。スプレッドとコミッションが他のブローカーと比べて有利かどうかも検討すると良いでしょう。取引で稼いだ利益が目減りする原因になるためです。

4. 売りポジションを建てる

通貨ペアを選び、市場を分析したら、売りポジションを建てます。具体的には、通貨ペアの売りを発注します。EUR/USDを空売りする場合は、ユーロを売りドルを買います。取引の意図は、後でレートが下落した時点でユーロを買い戻して利益を得ることです。

5. 損切りと利食いレベルを設定する

リスクを管理するには、損切りと利食いレベルの設定が重要です。損切り注文では、市場が一定額分不利に動いた場合、過度の損失を防ぐためにポジションが自動的に解消されます。逆に、利食い注文では、既定の利益レベルに達したらポジションが解消されます。どちらのツールも効果的にリスクを管理するために不可欠です。

6. 取引を監視する

売りポジションを建てたら、取引の継続的監視がきわめて重要です。FX市場は変動的な性質を帯び、レートが急変する可能性があります。市場ニュースや経済レポートなど、取引する通貨ペアに影響を及ぼしそうなイベントに目を光らせる必要があります。必要に応じて、損切りと利食いレベルを調整します。

7. ポジションを解消する

損益を実現するには、ポジションを解消する必要があります。通貨ペアが予想どおり動いたら、ポジションを解消して利益を確定させます。市場が思惑の逆方向に動いたら、ポジションを解消して損失を最小限に抑えます。ポジションは売却通貨を買い戻すことで解消します。安値で買い戻せれば、利益を獲得できます。

8. 取引を評価する

ポジションの解消後に、取引を評価する時間を取ります。うまくいった点とうまくいかなかった点、今後の戦略改善方法を分析します。こうした取引後の分析は、取引手法を磨き、スキルアップするうえできわめて重要です。

通貨の空売り例

通貨の空売りという概念は、実例を交えると理解が定着しやすくなります。

以下のシナリオでは、異なる状況で通貨の空売りが機能する方法を説明しています。

EUR/USD(ユーロ/米ドル)の空売り

欧州中央銀行(ECB)が利下げに踏み切りつつあり、ユーロ安米ドル高の展開が予想されるとしましょう。そこでEUR/USDペアを空売りすることにします。

  • ポジション開設。米ドルに対して10,000ユーロをレート1.2000で売ります。つまり12,000ドルを購入します。
  • 市場変動。ECBの利下げ発表後、予想どおりユーロ安となり、EUR/USDレートは1.1800に下落します。
  • ポジションを解消。この時点で、新規レート1.1800で10,000ユーロを買い戻します。そのために必要なのは11,800ドルです。
  • 利益の計算。ユーロの売りで12,000ドルを取得し、ユーロの買い戻しに11,800ドルかかりました。その結果、利益が200ドル発生しました。

この例では、対ドルでユーロの価値が下落すると、空売り取引で利益が出ることを示しています。

 

GBP/JPY(英ポンド/日本円)の空売り

英国内の政情不安定が原因で、英ポンドが円に対して下落すると予想したとしましょう。

  • ポジション構築。1,000英ポンドを円に対して150.00のレートで売ることで、GBP/JPYをショートすることにします。その結果、150,000円を受け取ります。
  • 市場変動。しばらくして、予想どおり政局混乱により、ペアのレートは145.00に下落します。
  • ポジションを解消。そこで、新規レート145.00で145,000円を払って1,000英ポンドを買い戻します。
  • • 利益の計算。当初の取引でポンドの売却により150,000円を受け取り、買い戻し時に145,000円を支払ったため、正味5,000円の利益を手にします。

このシナリオでは、地政学要因を材料に、通貨の空売りから利益獲得機会を作る方法を採り上げました。

AUD/USD (豪ドル/米ドル)の空売り

この例では、商品価格の下落を理由に豪ドル(AUD)が米ドルに対して下落すると予想します。特に、鉄鉱石価格の下落は、オーストラリア経済に大きく影響すると考えられます。

  • ポジション構築。米ドルに対して5,000豪ドルをレート0.7700で売り、3,850米ドルを手にします。
  • 市場変動。商品価格が下落し、AUD/USDレートは0.7500に下落します。
  • ポジションを解消。そこで、新規レート0.7500で3,750米ドルを払って5,000豪ドルを買い戻します。
  • 利益の計算。豪ドルの売却で3,850米ドルを受け取り、3,750米ドルを払って豪ドルを買い戻したため、利益は100米ドルになります。

この例では、商品価格のような経済要因が通貨レートの変動を招き、空売り機会を生むことが示されています

結論:通貨の空売りの複雑な仕組みを理解する

通貨の空売りは、市場変動の仕組みを理解しておくと成功につながる可能性があります。通貨価値の下落見通しを取引機会に変える方法となりますが、慎重な管理が必要なリスクも伴います。

通貨空売りの成功チャンスを高めるには、情報収集に努め、取引タイミングをよく見計らい、広範な経済状況を理解する必要があります。より重要なのは、予想外の相場シフトに備えることおよびリスク管理方法を知っておくことです。それにより大きな落とし穴にはまらないようにします。

全体として、適切な準備、知識、規律を整えておけば、通貨の空売りは取引手法の貴重な部分となる可能性があります

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