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初心者がFX市場で取引するなら、流動性と投資家からの注目度が最も高い通貨ペア(FX市場で取引される2か国の通貨で構成)に焦点を絞るのが良いでしょう。流動性とは市場に流入し、市場から流出する資金量で、オーダーブックの両側(買いと売り)に表示されます。
流動性が高い通貨ペアは値動きが安定的な(ボラティリティが低い)傾向があります。この特徴はFX取引に初めて取り組むときに役に立ちます。ボラティリティは価格が短期間にすばやく変動する場合に発生します。経験豊富な投資家は、初心者と違う観点からボラティリティに注目する可能性があります。利益獲得機会ととらえるのです。ただし、初めて市場で取引する場合に、取引ソフトの点滅するライトやめまぐるしくかわる数値に直面すると、一気に不安が募る可能性があります。
そこでこのガイドでは、「メジャー」、「クロス通貨」、「エキゾチック」ペアにわたって最も取引される通貨ペアにスポットライトを当てています。
市場にはメジャー通貨ペアの公式リストはありませんが、次の4ペアがFX取引で最も人気があり流動的であると広く受け入れられています。この4ペアのすべてに米ドルが含まれていますが、世界経済に米国が及ぼす影響力を踏まえると、当然と考えられます。
EUR/USD、別称「ユーロドル」は、欧州連合と米国の通貨を組み合わせたペアです。ユーロが基軸通貨、米ドルが決済通貨となります。基軸通貨と決済通貨についてご存知ない方のために説明すると、基軸通貨1単位の購入に必要な決済通貨の数量を表したものが為替レートとなります。
ユーロと米ドルの主な違いの1つは各通貨の金利です。欧州中央銀行(ECB)と連邦準備制度が設定する金利は影響力の大きい役割を果たす可能性があります。また、EU加盟国に影響する問題は、EUR/USDの不安材料となります。過去には、イタリアやギリシャでの債務危機で、ユーロ安ドル高の主因となりました。EUR/USDは世界で最も取引高の多い通貨ペアです。世界二大経済国/経済圏の通貨の組み合わせであることがその主な背景にあります。
GBP/USD通貨ペアは、英ポンドと米ドルで構成されます。第一次世界大戦前は、英ポンドが世界で最も貴重な通貨であり、世界債務の5分の3以上が英ポンド建てでした。ところが、第二次世界大戦後に米ドルは急速に英ポンドの地位を奪い、ブレトンウッズ体制(金価格を米ドルの価値に固定)の確立により米ドルは一気に主役に踊り出ました。1971年に米国はこの「金本位制」を廃止しましたが、現在でも最も影響力の大きい通貨であり続けています。
英国がブレグジット投票の結果、欧州連合から離脱したのは、ここ数年におけるGBP/USDにとって重要な出来事の1つです。国民投票後の英国とEUの貿易関係をめぐる強い不透明感から、GBP/USDレートは1日で8%急落し、1971年にブレトンウッズ体制が終了して以来、24時間で最大の変動に見舞われました。
USD/JPY、通称「ドル円」はFX市場の別のメジャー通貨ペアであり、1単位のドルを購入するのに必要な円の額を示します。
ドル円はFX界における西欧諸国と東洋諸国との架け橋と考えることができます。米国経済も日本経済も世界で最もリスク回避型と考えられるため、他のメジャー通貨ペアよりレート変動の点で劣る可能性があります。反面、このペアが初心者レベルのFX投資家のスタート地点に適する理由でもあります。
USD/CHFは熟練投資家の間では「Swissie」のニックネームで知られています。米ドルと組み合わさるのがスイスフランであるためです。米ドル同様スイスフランは、18世紀に起源を遡る豊かな歴史と伝統を持つ通貨です。スイスフランは長年、他の変動的通貨と比べて投資するのに比較的安全な通貨であると考えられてきました。スイスフランの40%以上が金準備で担保されていることが主な理由です。
「Swissie」の興味深い側面が相場の動きであり、通常、重大な地政学的ニュースと連動します。2008年に起こった金融危機などの難局時には、米経済の不安定さから資金を保護しようと、スイスフランに投資家が殺到しました。スイスは欧州連合と文化的にも経済的にも強いつながりがあります。そのため、EU圏の見通しに関するマイナス材料は「Swissie」にとっても痛手となります。
米ドルを含まないペアの中にも「メジャー」とみなされるものがいくつかあります。これらペアは「クロス通貨ペア」と呼ばれます。米ドルペアの取引を好まない投資家の参考になるよう、以下では取引高の多いクロス通貨ペアについて簡単に説明します。クロス通貨ペア(別称「マイナー通貨ペア」)には、通常、ユーロ、英ポンド、または円がペアの一方となります。
ペアは、米国に次いで2番目に取引高の多いユーロと6番目に多いカナダドルとの組み合わせで、クロス(マイナー)通貨ペアの中で相当の割合を占めます。その登場は、言うまでもなく1999年のユーロ導入に遡ります。
このペアのレート動向に大きく影響するのが金利です。欧州中央銀行(ECB)が設定する金利は、ある時点におけるユーロ経済の堅調さや軟調さの決定要因になり得ます。また、ECB月報では、政策見通しに関して方向性が示される可能性があります。片やカナダ経済には、さまざまな商品や原料にわたる輸出状況が大きく影響します。
EUR/AUDは比較的認知度の低いクロス通貨ペアです。興味深いことに、このペアは金価格に最も大きく影響されます。オーストラリアが世界3番目の金の生産者であることがその主な理由です。大抵の場合、金の価値と需要が低下すると豪ドルの価値と需要も低下します。
このペアは他にも、オーストラリア経済とニュージーランドをはじめとする周辺国との関係の影響を受けます。ニュージーランドや極東諸国からの輸入増大は、通常、「ダウンアンダー(オーストラリアの通称)」経済が過熱しつつある兆しと読み取られます。
クロス通貨ペア「ユーロ円」は市場取引高で7位につけています。ボラティリティが高い傾向にあるのが人気の理由で、頻繁なレート変動がデイトレーダーや投資家を引きつけています。円は19世紀に明治政府が制定した通貨で、日本が巨大産業国として拡大するのに合わせて、円は世界で最も影響力の大きい通貨の1つに成長しました。
ユーロ-スイスフランペアは投資・取引するのに特に興味深いクロス通貨ペアの1つです。スイスは欧州連合加盟国ではありませんが、長年良好な関係を築いている取引パートナーであることに変わりはありません。一方でスイスフランは、ユーロ圏の経済的苦境に対する安全ヘッジ資産の役割も長く担っています。ユーロ圏がギリシャ国債を救済した際、FXトレーダーが強力で信頼性の高い代替通貨を求めた結果、スイス府フランが急騰しました。
EUR/GBP通貨ペアは、英国の国民投票とそれに続くEU離脱を踏まえ、ここ数年、新聞の見出しを飾っています。ユーロと英ポンドは、EU経済と英国経済が西欧諸国の中でも屈指の強さであることから、欧州で最も影響力の大きい通貨に数えられます。このペアでは英ポンドが決済通貨であるため、EUR/GBPレートは1ユーロを購入するために必要な英ポンドの額を示します。
英国のEU離脱以外には、金利とGDPデータがこのペアの主な変動要因です。ECBがユーロ圏の金利を引き下げると、EUR/GBPレートは通常弱くなります。イングランド銀行が利下げすると、このペアは概ね堅調となります。金利が低下すると、FX市場では通貨に対する需要が減少するのが通例であるためです。
GBP/JPYは、FX歴の長い投資家の間で「Geppy」の愛称で知られており、世界経済の健全性を示す堅実な指標とみなされています。英ポンドと円はそれぞれ、英国経済と日本経済の堅調さを示しており、西洋と東洋の概況をつかむことができます。
ただし、EUR/JPYは過去において乱高下する局面を多数経験しています。これは、短期間に1件から数件のポジションを建てる機会をうかがうデイトレーダーにとって有利に働く可能性がありますが、長期的なFX投資家にとっては、このペアに手を出しにくい要因となります。
GBP/CADは英ポンドを基軸通貨、カナダドルを決済通貨とするペアです。カナダドルとカナダ経済は米国の通貨と経済と概ね連動します。この北米二国は長期的な取引パートナーであり、米国経済が活況になると、多くの場合、カナダ経済も早晩、その流れに追随します。そのため、米ドルの価値でGBP/CADの相場動向が決まる可能性は高くなります。
他に、カナダの輸出状況も注目に値します。原油や金などの商品相場の動向がカナダドルの値動きの決定要因となる可能性があるためです。
メジャーとクロス通貨ペアに加え、エキゾチック通貨ペアもFX市場の構成要素となっており、1つのメジャー通貨(主要通貨)と1つの発展途上国通貨が組み合わさってペアとなります。トルコリラを相手通貨としてユーロを取引するEUR/TRYは特によく取引されるエキソチック通貨です。 トルコ経済や欧州連合への加盟というトルコの戦略的計画を巡る思惑が継続的に渦巻いていることが、このペアの取引にトレーダーが乗り出す要因となっています。
EUR/TRYはFX市場で最もよく話題になるエキゾチック通貨ペアです。ユーロの相手通貨となるトルコリラがこのペアの決済通貨となります。このペアのレートは、トルコのEU加盟を巡る憶測が重大な材料となり、かなり変動的な傾向があります。
USD/HKDも人気のあるエキゾチック通貨ペアで、香港ドルが決済通貨となります。香港は世界で最も魅力のある自由市場経済という立場を維持しつつ、中国経済の扉にもなっています。そのため、香港ドルの動向は、通常、人民元レートの強力な指標ととらえられています。
NZD/SGDでは、シンガポールドルに対してニュージーランドドルが取引されます。シンガポールドルの安定度は世界有数と考えられています。ニュージーランドドルの価値が国内農業輸出の好不調に連動するのに対し、発展著しいシンガポール経済はITや金融サービスへの依存度が高くなっています。