日本円の強気派は、期待通りの満足できる結果を待っています。 精査され、下押し圧力のかかるカナダドル。

日本円の強気派は、期待通りの満足できる結果を待っています。 精査され、下押し圧力のかかるカナダドル。

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ジョン・ハーディ

グローバルマクロ戦略責任者

サマリー:  関税に関する雑音が飛び交う中、日米債券の利回りスプレッドは、米ドル/円(USDJPY)がはるかに低い水準で取引されることを示唆しています。他の通貨ペアでは、トランプ効果がカナダの選挙を前にカナダ自由党の政治的運命を突然復活させたため、カナダドル(CAD)の大きな政治的利害関係が浮かび上がりました。


ユーロは新たなトランプ関税の脅威を受けて軟調
速報:当記事の執筆にとりかかる直前に、トランプ米大統領はカナダとメキシコに対する関税措置が3月4日に発動されることを強調していました(もちろん土壇場での交渉によりトランプ関税の発動が取りやめとなる可能性もありますが、前日までの同関税に関する不確実性を解消した形です)。トランプ大統領はまた、中国に対する追加の10%の関税が3月5日に評価されると述べ、相互関税については4月2日の発動に向けて順調に進んでいると述べました。

昨日の最初の公式閣僚会議で、トランプ米大統領は「EUはアメリカをねじ伏せるために形成された」と主張し、EUの経済・政治統合体(ブロック)はカナダやメキシコとは「異なる種類のケース」であると述べました。彼は、42日までにEU25%の関税を課すことを提案し、そのニュースを受けて一晩で、ユーロ(EUR)は米ドル(USD)と英ポンド(GBP)に対して控えめであるものの下落しました。昨日は、混乱が市場を支配していました。というのも、カナダとメキシコ、これら2つの国についても、「4月2日」というのを繰り返し、さらに米商務長官のラトニック(Lutnick)氏が割って入り、違法なフェンタニル輸入に対する措置を講じた場合にのみ延期が認められると述べたため、カナダやメキシコに対する米国の関税強化措置の期限とされている「34日」についても、本当にこの日に実施されるのか疑わしくなったからです。

一般的に、関税の脅威に対する反応は、それが相手国からの政策の変更を引き出すための交渉戦術であるという仮定に基づいており、薄れてきています(:市場はむしろ本日の最新の脅威をもう少し深刻に受け止めています) 42日に発動するとして脅かされているEUの関税の脅威については、タイミングが興味深いものです。というのも、4月2日というのは、欧州委員会の競争政策担当責任者であるテレサ・リベラ(Teresa Ribera)氏が、AppleMetaEUのデジタル市場法(DMA)に違反している恐れがあるとして現在実施されている反トラスト法の調査に関して決定を下すだろうわずか数日後であり、場合によってはこれらの企業に対して巨額の罰金が科せられる可能性があります。市場は、おそらくEUと米国の貿易摩擦のリスクを過小評価しており、これについてはこれから更に述べますが、より長期にわたる欧州内の内部分裂を引き起こす可能性があります。

また、カナダ自由党がトランプ政権と戦うことでその間に国内政治について好機を作ることができると感じた場合のカナダとカナダドル(CAD)のリスクにも注意してください。

自由党が復活した場合は、カナダドル(CAD)へのリスク?
カナダドル(CAD)は下降しましたが、12月下旬から今月初めにかけてのレンジのかなり上の方に戻り、今は1.4270を超える水準にあります。米トランプ大統領がカナダに対する関税措置について脅かし、カナダが米国の51番目の州になるだろうと呼びかけて以来、カナダの政治情勢は劇的な変化を遂げています。世論調査では、トルドー首相が辞任した時点で歴史的な低水準にあった自由党(the Liberals)が、今では保守党(the Conservatives)と互角の世論調査を行っており、わずか数ヶ月前までは保守党が45%、自由党が20%だったのに対し、今では約35-35%と、目を見張るような逆転を見せています。両陣営とも、トランプの姿勢を認識して軍事支出を加速する必要性を国内で認めていますが、自由党党首候補のマーク・カーニー(Mark Carney)氏が発する美辞麗句は、カナダは歳出を増やすだけでなく、それらの歳出がアメリカに対して費やされるのではなく、アジアやヨーロッパからの供給(輸入品)に回るべきだというもので、驚くほどとんちんかんで感覚が鈍いようです。カナダは、新モンロー主義(New Monroe Doctrine:大陸間の相互不干渉と孤立主義を表す)の新時代に突入しています。つまり、それはカナダが、現在起こっているかについて一番良い評価を与えることを選択することができる一方で、カナダの優先事項は米国の新しい優先事項と一致しなければならない、さもなければ、それは実質的にカナダ経済を意のままに閉鎖することができる米トランプ政権からの極端な圧力に苦しむだろう、というものです。フェンタニルから国防費の増加(ほとんどが米国由来ですが、もちろん、この分野にも国内で投資を検討してみてください)まで、例えば、防衛費に関しては(英国が)2027年までにGDP比2.5%に大幅増額すると表明するなど、これまで報道されたわずかな金額をはるかに上回っており、全ての物事が大きく飛躍しています。或いは、他の国、(米国のお隣の国)メキシコは(いつものことなのでこういった状況で)やるべきことの手順を承知しています。

チャート:米ドル/円(USDJPY)
日米10年債利回りスプレッドは、米ドル/円(USDJPY)が157.00を上回って取引された1月13日の358ベーシスポイントから、過去2日間で290ベーシスポイントに低下しました。前回、昨年8月中旬から10月上旬にかけて日米の10年物国債利回りのスプレッドが290ベーシスポイントを下回ったのに対し、米ドル/円(USDJPY)は同期間のほとんどで、1ドル145円台前半の水準で取引されていました。同通貨ペアの価格が間違っているのでしょうか、それとも米国の関税の脅威が高すぎることから市場は円を割り引いているのでしょうか、もしくは、日銀が好む水準よりも日本の利回りが高くなった場合、日銀が債券市場への介入を検討する可能性があるからでしょうか。ここで知るのは難しいですが、値動きが重要な1ドル150-151.00円を上回って引けることがなかった場合、短期的に米ドル/円(USDJPY)の下降トレンド(円高方向)は崩れそうにみえません。1ドル148.65円を下回ると、1ドル140.00円付近への注目が再び高まることが考えられますが、そのためにはリスクセンチメントが次々と持続し(詳細は後述)、米国の10年物国債(指数)利回りが4.00%に向けて低下し続ける必要があるでしょう。

出所: サクソバンクグループ

リスクセンチメントを引き続き注視 – 経済活動の原動力となる主観的な期待が市場で優勢となり続けた場合、円の強気派にとって厳しい道のりとなるか?
昨夜発表されたNvidiaの収益結果は市場の予想を上回り、今後の強い収益予測を発表しましたが、大きな反応を引き起こすほどの圧倒的な強さには欠けていました。ナスダック100指数のテクニカル面での状況は重要で、先物では21,000付近の主要なサポートラインに非常に近い水準にあります。今後数日で、リスクセンチメントについての何らかのシグナルが出るでしょう。関税と米国の成長懸念が重くのしかかる一方で、米国債利回りが急激に後退し、昨日は10年物国債利回りが一時4.25%を下回ったことも、リスクセンチメントにとっては確かに支えとなっています。

注目すべきデータポイントの1つは、数十年の歴史を持つ個人投資家を対象とした週次AAII投資家調査で、株式が史上最高値から非常に浅い調整を受けている時期のデータをみた際にこれまでで最も弱気な測定値の1つを示しています。これは投資のタイミングを読むツールとして使用できる調査ではありませんでしたが、通常、非常に強気な測定値は市場の急騰と一致し、弱気の測定値のクラスターは醜い売りと一致することを考えると、この非常に弱気な測定値は前例のないものです。ここには情報の価値があるのでしょうか、それとも市場参加者は、強気市場が約4ヶ月間ほとんど横ばいモードに陥ったために単に弱気なのか、それとも単に非常に珍しく厳しい地政学的背景に不安を感じているのでしょうか?FXトレーダーにとって、円の強気相場はより大きな課題となります。なぜなら、リスクセンチメントがポジティブな場合、トレーダーは世界のイールドスプレッドにおける円支持の動きを無視するか、少なくともあまり注意を払わなくなるからです。

主要10通貨と人民元(CNH)のトレンドの展開とその強さを示す新しい表
注:これはFXボードのトレンド・インジケータの新しいバージョンであり、古いものと非常によく似ていますが、近日中に紹介するトレンドシグナリングモデルの入力に一致するように古いバージョンとはわずかに異なる計算パラメータが使われています。また、各通貨の平均ATR(アベレージ・トゥルー・レンジ:真の変動幅)の測定値とそのヒートマップを上部の表の下に配置しました。

FXボードのトレンド測定値は相対的な尺度を示しており、ボラティリティが調整されています。各通貨について、絶対値2未満の測定値は比較的弱いトレンドであることを示していますが、3を超える測定値はトレンドが非常に強く、6を超える測定値はトレンドが非常に強いことを示しています。

米ドル(USD)は依然としてマイナス傾向にありますが、ユーロ/米ドル(EUR/USD)は上昇することができず、豪ドル/米ドル(AUD/USD)は重要な0.6330の上値ブレイクラインを下回るのに苦労しており、米ドル/カナダドル(USDCAD)は高値レンジに戻り、米ドル/円(USDJPY)はまだ重要な148.65のサポートラインを突破できていない等、全体的な米ドル(USD)のトレンド状況はやや不透明です。続編にご期待ください。その他の通貨ペアでは、カナダドル(CAD)の弱い値と、金の強気トレンドが対米ドルで短期のサポートライン付近でもみ合いとなっており、減速していることに注目してください。

出所:ブルームバーグ、サクソバンクグループ

表:個々の通貨ペアの新しいFXボード・トレンドスコアボード
:前表の集計された通貨毎のトレンド測定値と同様に、個々の通貨ペアのトレンド測定値は、旧バージョンのトレンドスコアボードの計算方法と非常によく似ているものの、新しい計算方法に基づいています。繰り返しになりますが、これらの変更は、FXボードのトレンドを近日公開予定の新しいトレンドシグナリングモデルと同期させるために行われました。最も取引されている主要な通貨ペアは上の方の表にあります。

ユーロ/カナダドル(EURCAD)は、カナダドル(CAD)が弱含み、プラスのトレンドに転じましたが、この通貨ペアは2023年初頭のレンジにとどまっています 。ここでは、1.5200のラインに注目してください。その他の通貨ペアでは、米ドル/カナダドル(USDCAD)、豪ドル/米ドル(AUDUSD)、NZドル/米ドル(NZDUSD)はすべて、米ドル(USD)がプラスのトレンドへの反転する傾向にある状況(または、これらの通貨ペアでは、米ドルの弱気トレンドがニュートラルへ傾き始めています)となっています。

出所:ブルームバーグ、サクソバンクグループ

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