Press Release

日本株の動向をサクソバンクのアナリストが公開。

投資会社のバークシャー・ハサウェイが日本株に注目。
日本企業は高齢化社会に上手く対応し利益率も年々改善。

サクソバンク(Saxo Bank A/S)の株式戦略責任者である ピーター・ガンリュー(Peter Garnry)による日本株の動向分析を発表しました。
日本株は、日本経済と同様の評価を受けています。投資家にとって日本は高齢化が進み、成長機会に乏しい国との印象を与えているようです。加えて、ソニーやトヨタ以外に特に有名な企業がないことも事実です。しかし、バークシャー・ハサウェイは逆張り投資で成功してきた実績があり、日本株は今でもその典型的な例となっています。本稿では、日本株市場の特徴をいくつか取り上げ、バークシャーがなぜ日本株に注目し、そのエクスポージャーを増やすことにそれほど熱心なのか、その理由を探りたいと思います。(4/11時点の情報です)


■日本企業の利益成長率と成長ドライバー
バークシャー・ハサウェイは、日本株の保有比率を増やすために円建て社債の発行を検討しています。バークシャーは、パンデミック初期に総合商社の株を取得し、日本株への参入を果たしましたが、これは結果的に非常に優れた投資先となりました。バークシャーは明らかに、物価上昇と現物商品にとって構造的にポジティブな環境で上手くリターンを上げるエクスポージャーを探していたようです。バークシャーが円建て債を発行して日本株の保有比率を拡大する理由のひとつは、同社が米国以外の株式市場でアルファを獲得し、S&P500に連動する、あるいはそれ以上のリターンを上げることだと考えられます。
日本株は2005年1月以降、年率4.9%のリターンをもたらしています。同じ期間のインフレ率が年率0.5%のペースで上昇していることを踏まえると、年率4.4%という健全な実質リターンを生み出していることになります。この数字はAQR Capital Managementが過去の成長率とGDP成長率の予想に基づいて試算した日本企業の長期的な実質収益率の伸び(期間10年)を上回っています。一般に、日本は高齢化社会を背景に企業成長率が低いと考えられていますが、日本企業はこうした経営環境に上手く対応しています。利益率も年々改善しており、米国を拠点とするアクティビスト(物言う株主)は長年にわたって日本企業に効率化を図るよう促してきました。


高齢化社会では、労働投入の経済成長への寄与度は長期的にはマイナスに転じるため、日本は生産性および資本生産性に大きく依存しています。日本は常に生産性が低いと考えられてきましたが、生産年齢人口の一人当たりGDPを見ると、OECD諸国の中で最も生産性の高い国にそれほど見劣りしません。マッキンゼーが2015年3月に発行したレポートは、日本が今後数十年間で直面する課題や新たな成長機会を非常によくまとめています。日本は先進国の中で最初に人口減少による圧力を経験するため、最も自動化を加速する必要に迫られると予想されます。人口減少はいずれ欧米諸国を悩ませる問題となることから、日本の自動化やロボット業界は、将来的に同国の輸出拡大を牽引する役割を果たす可能性が期待できます。キーエンス(6861)は、日本の自動化/ロボット業界をリードする企業の一つです。

■バリュエーションは極めて割安;自社株買い加速と低い金利感応度に注目
日本株市場の最も興味深い特徴の一つは、そのバリュエーション水準です。日本株の12ヶ月先EV/EBITDAは6.7倍と、米国株に比べて48%割安な水準にあり、日本企業に対する極めて悲観的な見方を反映しています。過去10年余りに及ぶ米国のハイテク株主導の強気相場は、両国の株式市場のバリュエーションにかつてないほどのギャップを生みだしました。これは、1995年以降、日本株と米株の配当利回りの差が-2%ポイントから+0.8%ポイントに拡大していることからも明らかです。日本株にとってもう一つポジティブな要因は、日本企業による資本生産性の向上が、自社株買いによる株主還元の拡充を可能にしていることです。過去5年間の自社株買い利回りの平均は0.9%に達しています。

配当利回り2.4%、自社株買い利回り0.9%、実質収益率2.1%に基づいて算出される日本株の長期的な実質リターンの予想は、足元で年率5.4%になります。ただ、投資家が日本企業による生産性向上や、海外進出を加速して低い名目GDP成長率という課題をクリアする能力を過小評価しているとすれば、この水準はいずれ低すぎると判断されるようになるかもしれません。





最後にもう一つ興味深い点として、日本企業の現預金残高が純有利子負債を上回っていることがあげられます。これは、米国をはじめとする大半の国の株式市場に上場する企業とは異なり、日本企業の金利感応度は金利上昇に対してポジティブに作用することを意味します。黒田氏の後任として植田氏が日銀総裁に就任したことで、日銀は長い目で見るとこれまでと異なる金融政策を導入する可能性があり、これは、円高を促すと同時に、日本企業が保有する現預金残高の価値を高めることになります。

日本株市場に連動する割安なETF銘柄も揃っています。また、為替変動リスクを回避したい場合は、為替ヘッジが付いた銘柄を選択することも可能です。また、個別銘柄への投資を検討する場合の参考として、日本企業時価総額上位10銘柄(2023年4月11日時点)を以下にリストアップいたしました。

トヨタ(7203)
ソニー(6758)
キーエンス(6861)
NTT(9432)
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)
ファーストリテイリング(9983)
KDDI(9433)
第一三共(4568)
オリエンタルランド(4661)
信越化学工業(4063)


ピーター・ガンリュー(Peter Garnry)について
2010年にサクソバンク(Saxo Bank A/S)に入社し、現在株式戦略責任者を務める。2016年には、金融市場へコンピューターモデルを応用する手法に特化したクオンツ戦略チームの責任者に就任。株式市場と個別株式の分析を行っています。
https://www.home.saxo/ja-jp/insights/news-and-research/authors/peter-garnry

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1992年に設立されたサクソバンク(Saxo Bank A/S)は、オンライントレーディングのリーディングカンパニーとして積極的なIT投資を行い、テクノロジーに注力してきた金融機関です。デンマーク金融監督庁の認可を受け、同国コペンハーゲンに本社を置き、現在ではロンドン、アムステルダム、シンガポール、上海、香港、シドニー、東京、パリ、チューリッヒ、ドバイなど、世界中の金融センターに2,500人以上の従業員がいます。サクソバンクの取引・投資プラットフォームは世界180カ国以上の顧客やパートナーに70,000以上の商品を提供しています。

サクソバンク証券株式会社について
サクソバンク証券株式会社は2006年に設立され、サクソバンク(Saxo Bank A/S)の100%子会社であり、金融庁の認可を受けたオンライン証券会社です。150種類以上の通貨ペアを提供する外国為替証拠金(FX)、9,000銘柄以上を取り扱うCFD、米国・欧州・中国をはじめとする11,000銘柄以上を取り扱う外国株式など多彩な商品を競争力のある取引手数料で提供しています。より詳しい情報はホームページをご覧ください。
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金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第239号、商品先物取引業者
所在地 :〒105-0001  東京都港区虎ノ門1-2-8  虎ノ門琴平タワー22F
加入団体:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、日本投資者保護基金、日本商品先物取引協会


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